今回、お薦め図書をご紹介させて頂きます。
しかし紹介する本が無難な物では面白くないので、
読んでいる途中でも、読み終わった後でも頭が刺激される、
そして日々の仕事の中でも十分アレンジ可能な良本をご紹介します。
さていきなりですが、お薦め図書を列挙したいと思います。
・影響力の武器
・影響力の武器 実践編
・影響力の正体 (上記"影響力の武器"の新訳+追記有り版のようです)
著:ロバート・B・チャルディーニ
・ヤバイ経済学
・超ヤバイ経済学
著:スティーヴン・D・レヴィット/スティーヴン・J・ダブナー
・予想通りに不合理 (増補版はオリジナルに追記部分があります)
・不合理だからすべてがうまくいく
・ずる ―嘘とごまかしの行動経済学
著:ダン・アリエリー
いきなりたくさん紹介しておりますが、テーマは全て同じで
"行動経済学"という分野の研究レポートをまとめた本になります。
行動経済学は経済学の一分野になりますが、
経済学の考え方に加え、人間の行動心理を想定し、
その行動パターンが正しいかどうかを数値的に証明する学問です。
プロセス的に書くと、
行動パターンの仮説を立てる
↓
仮説を証明できるシチュエーションを作り実験をおこなう
↓
実験結果について数値的なデータを取る(アンケート含む)
↓
数理統計学の知識を使って、数値的に正しいかどうかを裏付ける
(主に相関係数を算出して、関係がある/ないを判断するのがベースのようです)
になります。
プロセスの中に数理統計学と書きましたが、
本の中で難しい数式が出てくるわけではありません。
それは研究者(著者)さんが勝手に計算してくれているので、
まずはその数値を信じましょう。
具体的な内容はというと…。
わかりやすい例を挙げたいところですが、
実際どれかの本に記載されている物なので
曖昧なところで留めておいて、
興味を持った方は本で答えを知ってもらえればと思います。
単純な実験ですが、
・ケースA
100円のチョコレートと1000円のチョコレート、それぞれ100個準備して、
どちらがどれくらいの速さで売れていくかを調べる。
もちろんそれぞれ値段相応の味(1000円の方がより美味しい)である品物です。
・ケースB
こちらではケースAと同じ100円と1000円のチョコレートを
それぞれ100円引きして販売します。
すなわち片方は0円(無料)、もう片方は900円になります。
このときチョコレートの売れ行きはどうなるでしょうか。
さて、この記事を読んでいる皆さんが、
ケースA/ケースBの両方の実験に参加しているとイメージして
安いチョコレートと高いチョコレートのどちらを買いますか??
そしてその結果は概ね間違いではありません。
と、こんな感じの実験を多々取り扱っていて、
学生さんなどに実験に参加してもらい行動パターンを学習します。
取り上げる題材は本当に身近な例ばかりで、
結果もすぐに飲み込め、あー、そうそう!って言いたくなる事例ばかりです。
当然、これらの結果をマーケティングに応用するのもアイデア次第で可能でして
どんな業界でお仕事されている方であっても読んで損はない本だと思います。
もう1シリーズ、お薦め図書をまとめたいと思いますが、
こちらも頭を使う本になっております。
・パズルランドのアリス1・2巻
・スマリヤンの無限の論理パズル ―ゲーデルとカントールをめぐる難問奇問
・スマリヤンの決定不能の論理パズル ―ゲーデルの定理と様相理論
・スマリヤンの究極の倫理パズル ―数の不思議からゲーデルの定理へ
・数理パズル 美女か野獣か? ―楽しみながらゲーデルの謎にせまる
・スマリヤン先生のブール代数入門 嘘つきパズル・パラドックス・論理の花咲く庭園
・この本の名は? 嘘つきと正直者をめぐる不思議な論理パズル
その他多数
著:レイモンド・スマリヤン
何がすごいというと、このスマリヤン先生は100歳近い今なおご存命です。
本の分野的には"論理学"です。
そしてスマリヤン先生の本は"論理パズル"として、
パズル感覚で遊んで学べる本になっています。
一冊適当に手に取っていただければすぐわかるかと思いますが、
1つのテーマとして、
"正直者":一切嘘を言わず、絶対に本当のことを言う人
"嘘吐き":一切本当のことを言わず、絶対に嘘を言う人
がよく出てきます。
ある人が何かコメントしたとして、
そのコメントから、その人が(もしくは他人が)正直者か嘘吐きかを決定できますか?
という問題がたくさん出てきます。
そういった論証を様々なパターンで記載されています。
基本的にクイズ形式になっていますので、頭の体操にはもってこいです。
論理的思考力を身に付けたいという方にはぜひとも読んでいただきたい本になります。
ではこちらも以下の問題例で頭の体操をしてみてください。
問1)
ある飲み会の席で、Aさんが以下のように言った。
Aさん『俺って嘘吐きだからさー!!』
さてAさんについて、以下のどれがあてはまるでしょうか?
①Aさんは正直者である
②Aさんは嘘吐きである
③Aさんが正直者/嘘吐きしか存在しない世界にいたとしたら、この発言はあり得ない
④Aさんは酔っ払いである
問2)
ある小さい村では床屋を営む人はたった1人しかいない。
その床屋の男性が以下のコメントをした。
男『この村に住む人で、自分でヒゲを剃らない人全員のヒゲを剃り、
それ以外の人のヒゲは剃らない』
さてこの床屋の男性のヒゲは誰が剃ればよいでしょうか?
参考:wikipedia
検索キーワード:床屋のパラドックス
ちなみに問2の答えはwikipediaに記載されておりませんが、
これはこれで抜け道があるので考えてみてください。
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100円のチョコが十分に美味しいの知っているので...
返信削除まして、それがタダって、900円の方をチョイスする理由がありませんねw
確かに日本では100円のチョコも十分美味しいですが、
返信削除海外ではどうでしょうか?w
という議論もあるのですが、もともとの"経済学"では
"両者を比較して900円高いのだからそれだけ価値が高い"
という結論がメインで、"タダの魅力(価値)"は説明できないのです。
"タダなら不味くてももらっておけ(食えなければ捨てる)"
みたいな心理まで説明要因となるのが"行動経済学"になりますw
問2)都会からやって来たカリスマ髭剃り師!!
返信削除さすがですw
削除問2は、この床屋の男性は小さな村の住人ではない、
(別の村に住んでいて、仕事をしにこの村にやってきている)
とすると矛盾がなくなります。
類似問題的に、あえて"男性"とは言わず"店員"として、
実はその床屋の店員さんは女性だった、というオチバージョンもありますw